「菖蒲」という漢字は、”あやめ”と”しょうぶ”という二通りの読み方があります。
そのことから「同じ花なんじゃないの?」と思われがちですが、実は異なる花なんです。
あやめとしょうぶはどう違う?
「あやめ」「しょうぶ」はどちらもキレイな紫色をした花で、毎年5~6月ごろに花を咲かせます。
ですが、実はこの2種類の花は全く別物。
知っておくとちょっと得する、アヤメとショウブの違いを見ていきましょう。
あやめは「アヤメ科」、しょうぶは「サトイモ科」
同じ「菖蒲」という漢字を各アヤメとショウブですが、実は品種が全く違います。
- あやめ→アヤメ科アヤメ属の多年草
- しょうぶ→サトイモ科
とされています。
ただ、最近はショウブの研究が進み「サトイモとはDNAが異なる」という事で、新しくショウブ科とするという文献もあるようです。
本種は旧来の分類体系では「サトイモ科」とされてきましたが、近年のDNAを用いた研究の結果、サトイモ科の他の植物とはかなり異なることが分かり、新しい分類体系(APG分類体系)では「ショウブ科」として独立した科とされています。
参考:重井薬用植物園
花びらの根本の部分が違う
そもそもの前提なのですが、ショウブ科(サトイモ科)の「ショウブ」は、白い花を咲かせます。
混同しやすいのが、あやめと同じアヤメ科アヤメ属の「ハナショウブ」という植物です。
あやめもハナショウブもキレイな紫色の花びらなのですが、花びらの根本部分を見ると違いが分かります。
- あやめ→花びらの根本が黄色く、黒の線で網目模様になっている
- ハナショウブ→黄色く筋になっている
アヤメもハナショウブも品種改良が進み、絞りが入っていたり花の濃淡が違ったりと多様ですが、上記の違いは変わりません。
生えている場所が違う
今まで出てきた「ショウブ」「ハナショウブ」「アヤメ」3種類。
特にハナショウブとアヤメはほとんど見分けがつかないような植物ですよね。
ですが、3つとも好む環境が違うんです。
- しょうぶ→湿地や水辺
- 花しょうぶ→半乾燥~湿地
- あやめ→乾燥した場所を好む
ぱっと見で花がどの植物か分からなかったら、生えている場所の地面を観察してみてもいいかもしれませんね。
あやめ・しょうぶに似た「かきつばた」って何?
ちなみに、あやめや花しょうぶに似た「杜若(かきつばた)」という植物があります。
あやめやショウブとの違いは以下の通り。
- 水の中で育つ
- 花びらの根本に「控えめな白い筋」
完全に水の中から生えているので、結構見分けるのは簡単かもしれませんね。